あなたや、あなたの身近な人が、特殊詐欺の加害者に?(弁護士 酒田芳人)

特殊詐欺、というよりも、「振り込め詐欺」とか、「オレオレ詐欺」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

 

主に高齢者を狙った、電話や手紙などを使った組織的な詐欺事件は、2000年前後から増え始め、今年(2019年)の上半期だけでも、全国で146.1億円の被害をもたらしたと言われています(警察庁の広報資料→
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2019.pdf)。

 

皆さんも、テレビのCM、警察署や役所のポスターなどで、被害に気を付けるよう呼び掛けられているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。

 

我々の事務所では、刑事事件に力を入れているため、多くの弁護士が、この特殊詐欺の事件を担当したことがあります。

 

その経験の中から言えることは、皆さんは詐欺の被害者になる可能性だけではなく、詐欺の加害者にもなる可能性がある、ということです。

 

特殊詐欺というのは、組織的に行われる犯罪です。
関わっているのは、犯罪組織への出資者や、メンバーに指示をするリーダーだけではありません。
被害者からカードを受け取ったり、被害者のお金をATMから引き出したりするといった、末端のメンバーとして実行する人たちも含まれます。

 

そうして、人びとの中には、例えば、友達や先輩から頼まれたから、インターネットで割りの良いバイトがあるのを見つけたから、などと言った安易な気持ちで関わってしまう人も多くいます。
そして、最後には特殊詐欺のメンバーとして警察に逮捕されてしまうという例も、決して少なくないのです。

 

自分は被害者を直接騙していない、重大な犯罪だとはハッキリ分からなかった、という言い訳は、ほとんど通りません。
これを、刑法の理論では、「共謀共同正犯」と言います。
特殊詐欺に関するものだけでも、最高裁の判例がいくつも出されています。
そして、先ほど述べたような、安易に関わってしまった末端のメンバーに対しても、非常に厳しい判断が下されています。

 

皆さんが、詐欺の加害者にならないようにすることはもちろんです。
しかし、万が一、あなたや、あなたの身近な人が、詐欺に関わってしまった場合、すぐに弁護士に相談するようにしてください。
そこから、警察や、被害者の方に対して、どういう対処をするのが最も良いか、弁護士と一緒に考えましょう。

2019年12月4日 9:21 AM  カテゴリー: コラム

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