少年事件が増加・凶悪化している?(弁護士 鵜飼裕未)
民法の成年年齢を18歳未満に引き下げる法律が2022年4月に施行されます。
そして、現在、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることの是非が議論されています。
皆さんは、最近の少年事件についてどのようなイメージをお持ちですか?
少年事件が「増加している」とか「凶悪化している」という意見を目にすることがあります。
しかし、実は、少年事件は増加しても凶悪化してもいません。
むしろ少年非行は近年急激に減っています。
少年による刑法犯の検挙人員は、2004年以降減少し続けていて、2017年は、人口比の最も高かった1981年の約5分の1になっています(平成30年版犯罪白書第3編/第1章/第1節/1)
重大・凶悪な事件も減少しています。
例えば、殺人罪(未遂を含む)で検挙された少年の人数は、1961年が440人であったのに対し、2017年は51人で、人口の減少を考慮しても、大幅に減少しています(昭和37年版犯罪白書Ⅰ-63表、平成30年版犯罪白書3-1-1-6表)。
また、「少年法は甘い」という意見も聞きます。
しかし、実際には、少年手続きは、成人の刑事手続きよりも、厳しい面が多くあります。
まず、少年については「不起訴」がありません。
成人の犯罪では、検察官が、起訴するか否かを決めます。
起訴される事件は、全体の約3分の1です(平成30年版犯罪白書第2編/第2章/第3節)。
逆に言えば、全体の約3分の2が、裁判にかけられることなく終わります。
しかし、少年事件については、原則として全ての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
成人と違い、裁判にかけられずに終わるということがほぼないのです。
また、罪を犯していなくても、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれがある場合には少年事件の対象となります。
その場合に、少年院送致などの処分を課されることもあります。
このように、「少年事件」や「少年法」の実際は世の中の方がもつイメージとは必ずしも一致していません。
少年事件では、「要保護性」が審判の対象となります。
したがって、軽微な事案であっても、少年の性格や環境から、将来再び非行に陥る危険性が高いとされると、少年院送致のような重い処分にふされることもあります。
そこで、弁護士は付添人として要保護性を減少させるために活動します。
例えば、ご本人とご家族との関係を調整するお手伝いをしたり、就労や就学についての環境整備をします。
少年事件においても、出来る限り早い時期から弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
まずはお気軽に当事務所にご連絡ください。
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【参考文献】
日本弁護士連合会「少年法の適用年齢引下げを語る前に~なぜ私たちは引下げに反対するのか~」
2019年12月27日 9:18 AM カテゴリー: コラム