北パブコラム(第3回):逮捕されたら・・・弁護人の必要性

1 逮捕・勾留(こうりゅう)とは何か

逮捕と勾留は,ともに被疑者(罪を犯したと疑われている人)の身体を拘束する捜査の手法です。

まず,逮捕は,勾留に先行する比較的短期(最長72時間)の身体拘束です。

一方,勾留は,逮捕に引続いて行われる比較的長期(最長25日間。もっとも,起訴された後の勾留は,数か月,ときには数年に及ぶこともあります。)の身体拘束です。

逮捕された被疑者は,通常,警察署の留置場において,身体拘束を受けます。

 

2 逮捕後の手続きの流れ

警察官は,被疑者を逮捕すると,通常,取調べ等を行います。そして,逮捕された被疑者は,48時間以内に,検察官に送られます(「検察官送致」,「送検」などと言われることがあります。)。そして,警察官から事件の送致を受けた検察官は,24時間以内に,引続き被疑者の身体を拘束する必要があるか否かを判断し,あると判断した場合には,裁判所に対して,勾留請求をします(身体拘束の必要がないと判断された場合には,当然,被疑者は釈放されます。)。

そして,検察官の勾留請求が認められ,裁判官が勾留の決定をすると,被疑者は引き続き身体を拘束されます。

その後,検察官は,勾留請求の日から10日以内に被疑者を起訴するか否かの判断をして,起訴しないとの判断をした場合には,被疑者を釈放しなければなりません。しかし,10日以内に起訴するか否かの判断をすることができず,引き続き被疑者の身体を拘束して,捜査を続けなれば起訴するかどうかの判断をできないことについて,やむを得ない理由(「やむを得ない事由」)がある場合には,さらに最長10日間の勾留の延長が認められます(一定の事件については,さらに5日間の再延長が認められています。)。

勾留延長は,あくまで例外的な措置のはずですが,現実には,多くの事案において,検察官が勾留の延長を請求し,裁判官もそれを認める傾向にあります。

 

3 弁護人はなぜ必要か。

被疑者は,逮捕・勾留されているか否かに関わりなく,罪を犯したと疑われている立場にあれば,いつでも弁護人を選任することができます。

そして,選任された弁護人は,被疑者の権利・利益を守るために,誤解を恐れずに言えば,被疑者の権利・利益を守るためだけに活動します。

被疑者は,逮捕・勾留されてしまえば,仕事や学校に行くことができません。また,接見が禁止されている場合には,弁護人以外の者と面会することもできません。仮に接見が禁止されていなくても,弁護人以外の者との面会時間は,平日の日中に数十分と非常に限られています。さらに,留置場内の生活も厳しく管理され,読みたい本を読む,食べたい物を食べる,飲みたいものを飲む,観たいテレビを観る,友人と電話やメールをするといったこれまで当たり前のようにやっていたことができなくなります。

このような不利益な状態から一日でも早く解放されるよう,被疑者のために活動をするのが弁護人の大きな役割です。

さらに,逮捕・勾留されている被疑者は,日常と違う環境におかれ,家族と満足に会うことができない状態で,警察官や検察官から取調べを受けます。被疑者は,罪を犯したと疑われて逮捕されたのですから,当然,警察官や検察官から厳しく追及されます。そして,疑われている内容が自分の記憶と異なっていることがあるかもしれません,ときには,それが全く身に覚えのないことであるかもしれません。

そのようなときに,自分の言い分をきちんと聞いてもらえないことも多々あります。確かに,被疑者は,警察官や検察官から黙秘権等の権利を一通り説明されますが,実際には,被疑者が黙秘をしたり,供述調書へのサインを拒否することは極めて困難です。

弁護人は,このような状況にある被疑者と面会をして,まずはその話をよく聞きます。その上で,不当な取調べがあったことが分かれば,警察官や検察官に対して抗議をします。また,弁護人は,被疑者から聞いた話をもとに,被疑者に有利な証拠を集めます。このように,弁護人は, 取調室の外で,被疑者を支える活動します。

もちろん,警察官や検察官もえん罪を生み出そうと思っているわけではありません。しかし,警察官や検察官は,被疑者の権利や利益を守ることだけを目的に仕事をしているわけではありません。この点が弁護人との大きな違いです。

つまり,「被疑者の利益になるか否か。」という観点から活動できるのは弁護人だけなのです。これが「弁護人の要らない事件はない。」といわれる所以です。

 

弁護士 布川 佳正

2011年4月25日 5:09 PM  カテゴリー: コラム

この記事をシェアする

Facebook Twitter