北パブコラム(第12回):クーリング・オフとは

 クーリング・オフとは、消費者が業者から物を買う契約を結んだり、その申し込みをした場合であっても、理由なく、かつ、無条件で契約を解除したり、申し込みを撤回できる制度です。このクーリング・オフ、有名な制度で、どなたも耳にしたことはあると思いますが、どのような場合に使えて、どのような場合に使えないのかなど、実は思いのほか複雑で、細かいところを具体的に知っている人は実はあまり多くないのではないでしょうか。
今回は、知っているようで知らない、クーリング・オフについてご説明したいと思います。
 
■ 対象の取引
 例えば、デパートで買った洋服を、翌日にやっぱりいらないといってクーリング・オフをすることができるでしょうか。答えは、「できない」です(1度着た程度であれば任意で返品に応じる店も多いですが)。
 クーリング・オフをすることができる取引には制限があり、どのような取引でも契約の解除や申し込みの撤回ができるというわけではありません。代表的な取引としては、「電話勧誘販売」と「訪問販売」があげられます。
 「電話勧誘販売」とは、読んで字のごとく、業者が電話で物を買うことをすすめる取引のことをいいます。「訪問販売」とは、業者が、店舗など営業所以外の場所で物を買うことをすすめる取引のことをいいます。店舗など営業所以外の場所であれば「訪問販売」にあたるので、業者が自宅に来て物を買うことをすすめる場合はもちろん、いわゆるキャッチ・セールスやアポイントメント・セールスなども「訪問販売」にあたります。
 これら「電話勧誘販売」や「訪問販売」で、商品を買ったり、その申し込みをしたりした場合が、クーリング・オフの対象です。3000円以上の額の物であれば、例えばカニの詰め合わせなどの生鮮食料品を買った場合もクーリング・オフできますし、リフォーム工事などの役務(サービス)もクーリング・オフの対象です。
 
■ 期間
 「電話勧誘販売」や「訪問販売」をする場合には、業者は、契約の内容など、法律で定められた事項が記載された書面を消費者に交付しなければなりませんが、業者からその書面を受け取ってから8日間を過ぎると、クーリング・オフをすることはできなくなります。
 
■ 泣き寝入りは禁物
 「電話勧誘販売」や「訪問販売」に限らず、消費者保護のため、実に様々な取引でクーリング・オフが認められています。例えば、契約期間が1年を超える場合には、生命保険もクーリング・オフの対象となりますし、土地や建物を買ったときにも、クーリング・オフできる場合があります。
 また、期間についても、書面を受け取ってから20日間までのクーリング・オフが認められている取引もありますし、業者の説明が不十分であったり、説明の内容に嘘があったりする場合には、8日間や20日間などの定められた期間を過ぎてもクーリング・オフをすることができます。
 以上のように、一見、クーリング・オフをすることができないように思える場合であっても、実はできる、ということが少なくありません。業者に返品は受け付けませんと言われてしまったから、買ってから1か月経ってしまったから、そんな理由で諦めてしまう人もいるかもしれませんが、泣き寝入りは禁物です。一度弁護士に相談することをおすすめします。
 

弁護士  寺 岡   俊

 

2015年7月29日 9:20 AM  カテゴリー: コラム