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元タレントの田代まさし氏が覚せい剤取締法違反で5度目の逮捕をされたと報道されています(2019年11月7日)。報道されている逮捕容疑が事実か否かは現時点ではわかりませんが、このコラムでは、使用者本人を非難することでは対策にならない、覚せい剤依存のおそろしさを感じていただきたいと思います。
以下は、私が大阪パブリック法律事務所在籍時に同事務所HPに投稿したコラムです(引用部分を一部削除しました)。
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【覚せい剤依存のおそろしさ】*2015年のコラムです。
刑事弁護をしていて出会うことが多い犯罪として,覚せい剤の使用があります。
覚せい剤使用犯罪の特徴に,何度も再犯を繰り返す方が多いということが挙げられます。覚せい剤取締法違反(使用)の量刑は,初犯は執行猶予で2度目以降は実刑判決というのが相場ですが,矯正施設(刑務所)では,覚せい剤依存治療の成果を上げることができていないといえます。裁判所には,再犯だからといってオートメーション的に実刑とするのではなく,その人に合った更生の道筋を考えて欲しいと願います。
なぜ,覚せい剤は止められないのでしょうか。使用したことのない我々には理解しづらいところですが,単に本人の意思が弱いからではないようです。
再犯をするのは,本人に法を守る意識がない(規範意識が乏しい),本人の悪性格によるものだという裁判官の誤解を解かなければなりません。
真の原因は,脳のメカニズムにあります。すなわち,薬効のドーパミン過剰供給によって,脳内に覚せい剤を欲する回路が形成され,継続使用のうちに回路が強化されていき,次第に回路自体が脳を支配するようになる。そのため,理性ではその欲求をコントロールできなくなるのです。
民間薬物依存回復施設ダルクには「回復への12のステップ」というものがあり,「ステップ1:私たちは薬物に対して無力であり,生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。」という言葉に,薬物依存の凄みがあります。
また,覚せい剤依存者には,強い猜疑心,自己正当化思考,妄想的言動等の特徴が見られます。元々は様々な個性のあった人達が,依存が進むにつれて似たような性向を示すようになることには驚きます。これらの性向により,家族をはじめとした周りの人達が振り回され,傷つき,離れて行ってしまう。周囲には薬物依存者だけが残るので,さらに使用頻度が上がって依存傾向が高まるという悪循環です。
上記の特徴も,覚せい剤回路により脳を支配されていることが原因です。回路は,依存者本人にも気づかれないように裏からその思考をコントロールし,覚せい剤を使用させようとします。そのために,周囲の人を敵と認識させ,使用行為を正当化させ,異常に飛躍的な思考をさせたりするのです。
依存者が,「自分は大丈夫です。もう止めますから。」と真剣な顔で言って,まったく止めない。これは,嘘をついているのではなくて,本人も回路によってそう騙されているからなんですね。
おそろしい覚せい剤依存ですが,回復された方も多数います。回復の方法は様々ありますが,理性を超越した欲求を制御するために,精神病院施設への入院や薬物依存回復施設への入所というものがあります。
刑事裁判では,覚せい剤再使用の誤解を解いた上で,それらの入院・入所が,更生への意欲の表れ,再犯可能性の低下といった刑を軽くする事情としてもっと斟酌されるべきでしょう。
精神病院や薬物依存回復施設は,どのような施設・メニューで依存症を回復させるのでしょうか。有名なところでは民間薬物依存回復施設ダルク(DARC:Drug Addiction Rehabilitation Centerの略)があります。覚せい剤依存からの回復に興味をもった私は,書籍やインターネットの情報だけではなく,実際に施設に行き,直接見聞することにしました。
今回は「覚せい剤依存のおそろしさ」として紹介しましたが,今後私が担当するコラムは,それらの施設を見学したことについて紹介していきます。
弁護士 諸橋仁智
*2015年のコラムです。
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覚せい剤事件の弁護は北千住パブリック法律事務所まで相談ください。
2019年11月8日
弁護士 諸橋 仁智
2019年11月8日 11:38 AM カテゴリー: コラム
小林英晃弁護士,田中翔弁護士,鵜飼裕未弁護士,戸塚史也弁護士が,9月2日及び同月3日,東京弁護士会所属の弁護士向けの法廷弁護技術研修の講師を務めました。
法廷弁護技術研修は,裁判員裁判の対象となる重大事件を担当するために必要な知識・技術を得るための研修です。
東京弁護士会では,この研修を受講済みであることが,裁判員裁判対象事件の国選弁護人として指名されるための要件となっています。
2019年10月24日 3:51 PM カテゴリー: 活動報告
特別な式典やイベントは行いませんでしたが、今年2019年をもちまして、弊所北千住パブリック法律事務所は創立15周年を迎えました。
この15年間、刑事訴訟の制度は大きな変革を遂げてきました。弊所も、様々な紆余曲折を経験してきました。
そのなかでも変わらなかったものがあるとすれば、「最後の弁護人」という理念ではないかと思っています。私たちは、重大事件や困難事件から逃げません。たとえほとんどの弁護士がやりたがらない事件であったとしても、誰かが行うべき事件について、最後の砦であり続けます。これは刑事事件に限らず、他の分野の事件であっても同様です。
もちろん、こうした姿勢を貫きながら15年やってこられたのは、多くの方のご理解やご協力のおかげにほかなりません。
今後とも、あたたかく見守っていただけますと幸甚です。
何卒よろしくお願い申し上げます。
2019年10月24日 3:49 PM カテゴリー: コラム
2019年11月・12月の法律相談の日程は次のとおりです。
土曜・夜間法律相談も行いますので、ぜひご利用ください。
いずれも電話での事前予約をお願いします。
毎週月曜日 (1)15:30~ (2)16:15~
毎週火曜日 (1)10:00~ (2)10:45~
毎週水曜日 (1)18:00~ (2)18:45~ ※夜間法律相談
毎週木曜日 (1)15:30~ (2)16:15~
毎週金曜日 (1)13:30~ (2)14:15~
(但し、祝日は除く。)
毎週土曜日 (1)10:00~ (2)10:45~
※突然逮捕された場合の刑事事件など、緊急の場合には、上記以外の時間で対応できる場合もございますので、お問い合わせください。(ただし、所属弁護士のスケジュールが全てうまっている場合など、お受けできないこともございますので、あらかじめご了承ください。)
【ご予約・お問い合わせ】
03-5284-2101(平日午前9時30分~午後4時30分)
※その他、法律相談・事件のご依頼についての詳細は、「初めてご相談される方へ」をご覧下さい。
2019年10月22日 9:38 AM カテゴリー: 法律相談のご案内